八ヶ岳オーガニック
有機栽培農場 野菜の里のホームページです。
八ヶ岳の自然や畑の情報発信、有機野菜の宅配のご案内をしています。

尽きない謎

 秋晴れの10月のある日、ピーマン畑の隅にひっそりと咲く可憐なピンク色の花を見つけました。コシオガマというゴマノハグサ科の半寄生植物で、他の植物の根に寄生して水分や無機栄養を吸収しているそうです。
 寄生植物というと、ナンバンギセルやヤドリギ、アメリカネナシカズラなどちょっと変わった外観のものが多い中で、見かけは普通の植物と全く変わらず、意外な感じですね。どの植物の根にどのように寄生しているのか、掘って確かめるのもはばかられるほどの美しさでした。もちろん葉がちゃんとあって光合成はしているし、根も張っています。なのに、どうしてこの植物は半寄生という選択をしたのか。なぜ寄生が必要だったのか。様々な植物同士が地面の下で競争してきた結果だと東北大学植物園のサイトに解説がありました。でも、競争しているのは他の植物も同じです。その中からこの植物を寄生という性質に導いたのは何だったのでしょうか。ちなみに、植物の進化プロセスの中で、このゴマノハグサ科の半寄生植物から全寄生に移行した種が、ナンバンギセルなどのハマウツボ科の植物だそうです。
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 このコシオガマは、特定の寄生主を選ばない、つまりいろいろな植物に寄生するということですが、では、どのようにして寄生するのでしょう。
 寄生する方は、相手に害があるあるいは不利になると感じさせずに近づいていって寄生を達成する必要があるし、寄生される方は、養分や水分を横取りされるのでこれを防御しなければならない、と考えるのは人間の論理なのでしょうか。
 なすやきゅうりの慣行栽培では、同じ畑で連作すると病気が増えてくるので、病気に強い苗を作るために接ぎ木という方法を利用することがあります。病気に強い台木と、成長点のある穂木を切り口を合わせて接合するのですが、同じ科の植物であっても親和性が低く、くっつきにくいものもあって難しい栽培技術のひとつです。この接ぎ木のことを考えると、異なる科の植物の組織が融合して物質のやりとりをしているというのは、驚きです。そこには、一方的な関係ではなく、実はお互いに利点がある関係、共生関係があるのかもしれません。寄生と共生は二つの対立するものではなく、グラデーションのように連続しているものなのかもしれません。

 そしてもうひとつの疑問が、このコシオガマという名の由来です。
 花の形が、塩を作る釜に似ていることかと簡単に考えましたが、製塩用の釜は皿形の平釜で、深い甕型のものは今は使われていません。はじめから海水を煮詰める製塩法ではなく、アラメなどの塩が付着した海藻から鹹水を煮出すのに使う釜を指しているのでしょうか。江戸期に開発された入浜式製塩法とは異なるローカルな製塩法に使われた道具の形に由来するのか、古代以降の土器製塩法の土器に由来するのか。それとも、地名やもっと違う由来があるのか。

 私の問いかけに、小さな花は、秋風に身をゆすって笑っているようでした。

飼育の楽しみ その1

アブラバチ
 子供の頃、庭のバラや菊の花茎にびっちりたかる虫に、恐怖というか嫌悪というか何とも言えない気分を抱かされたことを思い出させるのが、アブラムシです。そのアブラムシに父が乳剤をかけると、おもしろいようにパラパラと落ちていくのを何とはなしに眺めていたものです。バラに付くアブラムシと菊に付くアブラムシが違う種類であること、いろいろな植物に幅広く付くものと特定の植物にだけ付くものがあって、日本では約700種類のアブラムシが確認されていることなどを知ったのはそれからずっと後のことでした。
 さて、春、キャベツや小松菜、スナックえんどうなどを収穫しているときに必ずといっていいほどこのアブラムシにお目にかかります。生きているアブラムシの近くに、薄茶色の抜け殻のようなものがあることには気づいていましたが、何なのかわからずにいました。
 ところが、5,6年前にこれが寄生蜂に寄生されたアブラムシだということを知って、一体中から何が出てくるのか見たくなり、この春に、飼ってみることにしました。注意してみると、作物の葉だけではなく、畑の周りにあるクローバーやイネ科の牧草類にもさまざまな大きさのものが見られ、中には小さな穴が開いていておそらく中から羽化して空になったようなものもありました。そのうちのひとつを、つぶさないように爪の先でそっと容器に入れ様子をみることにしました。IMGP3933.jpg
 それから1週間ほどして中をのぞいてみると、なんと小さな蜂が、まさしく蜂がいるではありませんか。種類はわかりませんが、どうやらアブラバチの仲間のようです。見て下さい。このりりしい立ち姿は、なんとも頼もしいではありませんか。一種類のアブラムシだけに寄生する蜂やアブラムシなら何にでも?寄生するものやらいろいろあるようで、生態についての研究も少しずつ進んでおり、コレマンアブラバチ(輸入種)など生物農薬として実用化されているものもあります。
 さてこの寄生蜂、こんな小さな生き物ながら、なかなか奥が深いんですね。寄生されない昆虫はないといわれるくらい、多種多様な寄生蜂がいて、生態もさまざまでまだまだいろいろな発見が期待される寄生蜂ワールド、これからもたびたびこのコーナーに登場してもらう予定です。

なでしこプロジェクト始めました。

 カーネーションやセキチクなどの仲間で、秋の七草のひとつカワラナデシコ。
日当たりの良い土手や水路沿いなど、どこにでもあるような気がしてIMGP4531.jpgいましたが、最近あまり見かけなくなりました。水田の土手の草をこまめに刈りすぎたり、逆に耕作放棄で勢いの強い他の植物に占有されたりしたのが原因でしょう。
どこにでもあるような気がしていて、気がつくとあまり見かけなくなっている生き物のひとつです。
実は、この花も都道府県によってはレッドデータブックに載っているのです。もちろんまだ絶滅危惧1類ではありませんが、要注意レベルに上がりつつあるようです。皆さんの周りでこの秋見かけましたか。
 私たちの農場には、場所によってカワラナデシコがたくさん生えているところがあります。そこで、年に数回行っている管理のための刈払いの際に、花が終わってできた種子がこぼれる時期までカワラナデシコの株を残すことにしました。
簡単なようでこれがなかなか手間がかかる作業なのですが、ひっそりと咲くかわいい花を見ると疲れも幾分か和らぎます。
何年後か、土手いっぱいのなでしこを夢見て。これがささやかな私たちのプロジェクトです。

主に謝りたい。

休耕して大きくなった草やしばらく刈っていない土手などで見られる、草の小さな玉。
鳥の巣ではありません。作り主は小さな小さなカヤネズミです。
IMGP4612.jpgカヤネズミは、胴の長さが約6㎝、体重が10グラム足らずの日本で一番小さなネズミです。エノコログサなどの草の実や小さな虫を食べ、農作物を食害したり家の中に侵入して悪さしたりすることはありません。
今年も8月中下旬に何カ所かの畑で巣に遭遇しました。多いところでは、約10アールの畑で5個も見つかり、ちょっとびっくり。高さは地面から70㎝くらい、形は縦長や球形などいろいろあり、大きさも10〜15㎝位と幅がありました。茶色の枯れ草とまだ青い葉の両方を、うまく編むようにして作られており、今の今までそこに主がいたかのようでした。巣材に使っているのは、いずれもイヌビエ、エノコログサなどのイネ科の植物で、巣自体も太めのイヌビエ数本を柱として渡して作られ強風などにも耐えられそうなくらいがっちりした感じでした。
 秋の繁殖期に向かって、きっとおかあさんネズミがここなら安心と作ったのでしょう。草にしておいた私たちがいけなかったかなあ。でも、ここは畑なんだよね。今頃は、どこかで無事に子育てしているといいんだけど。

ありがたい置き土産

IMGP4904.jpgおいしそうなトマトの実に何やら白いものが。これはいったいなんでしょうか。
 毎年、トマトがたくさん採れる時期になってくると出てくる嫌われ者といえば、オオタバコガ。
 収穫間近の赤い実から、まだ小さな青い実までところかまわず食べ歩き、汚い糞を実にべとべとつけて、収穫の喜びを奈落の底に突き落とす憎いやつです。
 8月の終わり、秋風が吹き畑のエノコログサやイヌビエなどの実が熟し始めると現れるのがスズメ。このスズメたちが、朝晩や雨の日にトマトの雨除けビニールの下で休む姿を見かけるようになると、目につき出すのが先ほどの白いもの。鳥の糞と言うことなかれ。いまだ目撃することなかれども、どうやら憎きオオタバコガの幼虫を鳥たちが補食している模様。明らかに減っている幼虫の数。そして、虫食いのある一つのトマトの実に残る2種類の糞。ひとつは、まだ乾かぬオオタバコガの幼虫のもの、もうひとつは、これもまだしたての柔らかな鳥のもの。そしてオオタバコガの姿はもう、ない。これこそが動かぬ証拠。と探偵よろしく収穫作業にいそしむのでした。

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生物多様性と野菜の里

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私たちの農場では、1年を通して様々な生き物を見ることができます。植物、昆虫、鳥類、小動物などなど。
何をしているのかよくわからないけれど、きっとお互いにどこかでつながっているという予感が湧き上がってきて、わくわくしたり、どきどきしたり。
種の同定や数の計量も大切だけど、この言い得ぬ感覚こそが生き物と私たちを結ぶ第一歩だと考えます。

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生き物たちと共に

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ひとが作物を作ることが、今までの農業でした。
様々な生き物と共に育つ作物の一部をひとのために活かすのが、これからの農業。
主役は豊穣な生き物たちです。

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畑の豊かさを食卓へ

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作物の歴史は、人間の歴史そのものです。
移動や交易などで、人と共に原産地から世界中に広がっていきました。
原種といわれる種から、収量や耐病性などいろいろな目的で、品種改良を進めてきました。
作物の種の膨大な数から見ればごく一部にすぎませんが、私たちの農場では、1年間に60種以上の野菜を栽培して、皆様の食卓にお届けしています。

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